次世代の営業スタイルはコーチング営業(抽象度を上げ下げする思考)
お客さんの課題を解決していく営業マンをソリューション営業やコンサル営業と呼び、その前の世代までの「押し売り営業マン」よりは成果を出しています。むしろ今押し売り営業はお客さんからも煙たがられ、営業マン自体も仕事にやりがいを感じられず離職率も高く、世の中から姿を消しつつある、というのが現状ではないでしょうか。
では、お客さんの課題を解決するソリューション営業において重要なことは、「エフィカシー」であるということを先に述べました。エフィカシーに加え、もう1つ重要なことは「抽象度」です。抽象度は物事みる視点の高さのことですが、抽象度が高いというのは抽象的という意味で、抽象度が低いというのは具体的であるということです。この抽象度を頭の中で上げ下げするような思考ができることが営業マンにとって非常に重要になります。
例えば、あなたがホッチキスを売る営業マンだとします。売上予算は1億円で、年間1億円ホッチキスを売るというミッションを会社から与えられたとした場合、あなたはどんな気持ちですか。
では、1つ抽象度を上げて、ホッチキス以外にも文房具なら何でもいいよ、1億円売ってきて、とミッションを与えられるとどうでしょうか。少し楽になりますね。ホッチキス以外にもはさみもあるし、ペンもあるし、と幅が広がります。さらに抽象度を上げます。オフィス用品ならなんでもいいから1億円売ってきてというミッションだとどうでしょう。さらに楽になりますね。文房具の他にもコピー機や複合機、デスクや椅子などなどさらに選択肢が広がりますから。さらに抽象度を上げて新しいオフィスライフを顧客に提供して、結果1億円の売り上げをつくりましょうというミッションだとどうでしょう。そうなると物だけではなくサービスも売れます。リモートワークに関するソリューションとか、5GやIOT技術を駆使しオフィスの新サービスを提供するとか、色々アイディアが出てきます。ホッチキスを1億円と言われたときに比べると遥かに創造的になりますよね。この抽象度を高めて考えるという思考が営業マンにおいてはとても大切になります。今の例ですと、ホッチキス→文房具→オフィス用品→オフィスライフと抽象度があがっていきました。仮に、ホッチキスのみを販売している営業マンであっても、頭の中で抽象度を高く考えることは、0円でできます。新しいオフィスライフをつくろうと思ってホッチキスと売るのと、ホッチキスを売るためにホッチキスを売るのでは、やり方も大きく変わってきます。新しいオフィスライフをつくるぞ!と、頭の中で抽象度を高く考えて、そこから、そのためにどんなホッチキスがいいのかとか、新しいオフィスライフづくりのためにはホッチキス販売以外にも具体的な方法が他にもあるよね、と抽象度を下げてみるのです。抽象度を上げたり下げたりです。するとRASが大きく開き、お客さんから聞いてくる情報量が格段に増えます。また、そのくらい高い抽象度で話がきけるようになると、お客さんからも信頼を受けるようになります。出会うお客さんも変わります。より顧客組織で、上層部のお客さんと出会い、話が聞けるようになります。そして、営業をすること自体がとても楽しくなっていきます。
この抽象度の上げ下げが重要です。お客さんの課題は多岐にわたります。お客さんの一担当者としての課題から、部としての課題、会社全体としての課題、お客さんのお客さんの課題と抽象度はどんどん高めて聞くことができます。抽象度が高いと提案できる幅も広がります。だからお客さんに与えるインパクトも桁違いになりますし、当然売り上げも格段に上がるようになります。
社長やマネジメントの皆さんは自社の営業マンの抽象度を上げ下げするような思考を促すようなコミュニケーションや取り組みをしてみてはいかがでしょうか。