社長が自分の意図を浸透させる実践的技術(質問を多用する)

社長が自分の意図を浸透させる実践的技術(質問を多用する)

社員の心を動かすような話をする際に、大切な技術として、質問する、という技術があります。基本的に社長の話を社員は聞いていません。というと極端かもしれませんが、脳の仕組み上、人の脳は自分にとって重要な情報のみを拾おうとします。社長が、いくら自分が重要だと思うことを話していても、社員は今日までの納期の仕事の方が重要かもしれません。この仕組みをRAS(ラス)とスコトーマと言います。RASは重要な情報とそうでない情報をふるいにかけるフィルター機能です。自分が欲しいものに関するCMやネット広告などは目に入ってきますよね。それは、その情報が自分にとって重要だからです。

とすると、社員の心を動かしたければ、社員のRASを通り抜けるような話をする必要があります。そのために社員のRASを開く必要があります。

相手のRASを開く方法として「質問する」は、簡単にできて多用できます。一方的に自分の伝えたいことを伝えるのではなく、先に「質問する」のです。そして伝えたいことを伝えるのです。例えば、プレゼンの最初に「皆さんに質問です、Aについてどう思います?」と入れると、聞き手はふと考えますよね。そしてその答えを聞きたくなるわけです。これが、RASが開いたということです。相手にとって、自分が今から話す内容に対する重要性をあらかじめ高めるのです。質問のバリエーションは様々です。ポイントとしては、未来に意識を持っていくのです。先ほどの「Aについてどう思いますか?」と聞くことで、聞き手は自分なりの意見を持とうとします。さらにその答えを聞きたいと未来に意識が向きます。

未来に意識を向けることに加えて、未来の臨場感を高める質問もするとより効果的です。「皆さんならどうします?」「少しイメージしてみてください○○になったらどんな気持ちですか?」「Aを選択した先、どうなると思います?」など。質問をした上で、自分が伝えたい重要なことを伝えるのです。その重要な情報は、するするっと相手のRASを通り抜けます。そして脳があなたの伝える情報をちゃんと処理してくれますので、記憶にも残ります。

慣れてくると、相手の表情や反応を見ながら、適切なタイミングで質問ができるようになってきます。

ちなみに、RASを開くために質問をするといいましたが、相手のRASを開かなくとも、最初からRASを通すような話をするというのも1つです。分かりやすい話が「例え話」ですね。聞き手のレベル、興味のあることをあらかじめ把握しておいて、事例を話ながら、重要なことを伝えるというのは相手のRASを通すということですね。

社長が社員に自分の意図を伝えるときだけではなく、営業マンがお客さんと向き合った時にも使えるアプローチです。色々と楽しみながら試してみてください。

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